植物事典

 風蘭      品種

斑と斑入り植物
前回更新日 更新日2008年10月17日

◆斑入り植物収集について思うこと
最近は斑入り植物を、よく園芸店で見かけるようになり、雑誌などでもたびたび紹介されています。観るたびに欲しくなってしまいます。斑入り植物が、極一部のマニアだけでなく一般に普及してきている様です。
しかしただそう簡単に新しい品種の斑入り植物が手に入り私のコレクションとして手元で栽培できるほどあまくはなく・・・涙・・・涙・・・。

人工的紫外線照射による変異・バイオテクノロジーでの合成、増殖などで、斑入り植物の品種が増えたり、普及品が多く出回ったりすることは嬉しい事ですが、人の持っていないもの、人がほしがるもの、自分しか育てていないものを栽培したいと思うのは私のわがままでしょうか?。

◆斑入り植物について思うこと
斑入り植物といっても、すべての植物に斑が入る可能性があり、まだ発見されていなかったり、発表されていなかったり、また斑が出ても安定せずに消えていったりであり、その斑の入り方も千差万別で、植物の形体や斑の入る場所によっても違ってきます。
ここではおおまかな斑の種類を解説したいと思います。
斑は江戸時代から錦葉として親しまれて来ました。

◆斑の種類入り方◆

◆斑について◆

(あお)
 斑の無い緑一色の個体を青と言いますが、斑入り品種から斑が消えてしまった個体も青と言います。
 斑入りが選別されている全ての植物で、斑入りの個体と区別する為に用いられます。
 泥(アントシアン)・斑が無い事を示す用語。
◆紺  葉の表面の緑色を紺と言います。
 緑色の濃いものを「紺地が強い」と言い、黄緑色のものは「紺地が弱い」と言います。
無地  斑の無い葉を無地と言います。
 葉型の変異や地合の変異を「無地葉変わり」と言ったりします。

(ふ)
 葉や茎の葉緑素が部分的に失われ、白や黄色に変色したものを言います。
 一種の奇形ですが、色や模様の変化が楽しめるので鑑賞の対象にします。
 病気や成長障害でも斑に似た斑紋が生じる場合がありますが、これは斑とは言いません。
 斑によくにたものに「地模様」がありますが、出現率以外の違いを定義するのは難しいです。
 斑入りは個体変異ですが、斑の種類により遺伝性があります。
 実生により覆輪の遺伝する確率は0%、棒縞は限りなく0%に近く、虎斑や散斑は、かなりの確率で 遺伝します。
 蘭の場合、実生が盛んになったのは最近で、多くの斑入り品種は野生種の選別品や栽培種の
 芽変わりが増殖されて流通したものです。
 斑の入り具合を柄と言います。斑の入り具合を示す用語。
 品種の特徴を良く現し、美しく斑が入った個体を上柄(じょうがら)と言います。
 あまり程度の良くない個体を並柄と言います。
 形状や寸法が標準的なものを並と言います。
 芸の状態が、あまり良くない物も並と言います。
 例えば斑の入り方が、あまり良くない個体を並柄と言います
 (標準的と言うより、あまり良くないと言う意味が込められています。)
柄落ち  斑入りの品種から斑が消えてしまうこと、又は消えてしまった個体を柄落ちと言います。
斑物の柄がなくってしまった状態を示す用語
斑切れ  緑の地と斑の境界のことを言います。
 境界がぼやけて見えるより、はっきり判る方が評価が高く「斑切れが良い」と言います。
◆芸  ある個体が同一品種の一般的な個体に無いい特徴を持っている場合、その特徴を芸と言います。
 その特徴は「斑入り」、「花変わり」、「形状の変化」などです。
 古典園芸などでの変化(変異)の事。斑入りや変化した葉や花を示す
 例  斑入りで矮性の二つの変異がある場合は「二芸品」と呼ぶ
◆斑の入り方による分類<T>葉(覆輪)◆
◆覆輪
 (ふくりん)
外斑
マルギナタ
 葉を縁取るように入る斑。
 葉の縁に白、黄の斑が入るもの。
 葉の周辺が斑入りになった状態。
 斑の入り方の一つで、葉の周辺部を斑が囲み、中央部は地の緑色です。
 斑の面積の狭いもの(覆輪の幅の狭いもの)を糸覆輪と言います。
 斑の面積が広いものを大覆輪と言い、評価は高くなりますが性質は弱くなります。
 葉の外側に斑があるということで、覆輪のことを外斑と言うことも、
 ⇔中斑(なかふ)に対応する言葉です。
◆糸覆輪
 (いとふくりん)
 糸の様に細い覆輪、縁に浅く細く入る斑。
 覆輪の斑の幅が狭く地味なものを言います。
 覆輪の幅が広いものは大覆輪と言います。
◆大覆輪
(だいぶくりん
深覆輪
ふかぶくりん
ふかふくりん
 覆輪で、斑の幅が広く、葉の全周をきちんと回っている斑
 縁より深く幅広に入る斑。
 覆輪の斑の幅が広くなったものです。
 極端に斑の面積が広くなり中央部に少量の緑を残す場合は、「紺中通し」と呼ばれる場合がありま  す。
片覆輪  覆輪品種で、葉の中央から片側にしか覆輪が無い斑。
切り込み覆輪  覆輪の一部に葉緑素が入ったりする斑
◆中通し  葉の中央に細い縦縞が一本通る様子を言います。
 「紺中通し」という表現をよくしますが、これは浅黄地の中央に葉先に達しない紺縞が通ったものです 。
 これは、実際には浅黄の大覆輪です
 斑の色が白や黄色の大覆輪でも「紺中通し」と言えなくはありません。
 ただし、白地に紺の中通しでは生育が困難で現物を見たことはありません。
覆輪くずれ  縁に入るが広く浅く安定しない斑。
二重(にじゅう)覆輪  あまり出現しないので、この名称は使用されない。
 四層構造の中間部分が緑で外側が斑入りとなる状態を2回繰り返す。
◆爪斑
爪覆輪
 葉の先端に覆輪状に入る斑。葉先だけに現れる覆輪状の斑。
 葉先にだけ斑の入った状態を爪斑と言います。
 このうち、斑の色が白いものは「峰斑」と呼ばれる事が多い様です。
峰斑  葉先に白斑が入った状態を言います。
 山の頂上に雪が残った状況を表現していると思います。
 従って斑の色は白で、他の色は「爪斑」と言います。
 葉の先端にだけ入る斑。
◆耳摺り  葉の端にかするように入る斑。葉の縁にちょっと出る斑
 葉縁の一部に、かすかな斑が現れる斑の状態を言います。
 多くは糸覆輪で、覆輪の幅が狭くて、一部分しか見えない状態です。
◆紺覆輪  薄い緑色の地に濃い緑色の覆輪が入った状態を言います。
 実際には覆輪の部分が地の部分で、内部が斑の部分です。
 つまり中透けであると言えます。
 白中透けや黄中透けも紺覆輪という場合があります。
◆斑の入り方による分類<U>葉(中斑)◆
◆中斑
中押さえ
 葉の中に斑が入る芸の総称
 覆輪とは反対に葉の中側に斑が出て周辺部は緑の状態を言います。
 斑の面積が広いものは「中透け」と呼ばれるので、斑の面積のあまり広くないものを言います。
 斑の色により白中斑とか黄中斑とか呼ばれます。
 葉の中央に入る斑。葉の中心部分が斑入りになったもの。⇔覆輪(ふくりん)
広中斑  より広く葉の中央に入る斑。→紺覆輪
中通し  中透けほど斑がはっきりしてなく、線状に入った斑
 
◆中透け  葉の中央に入る斑
 中斑(なかふ)のなかで葉の先端までコントラストよく斑入りとなる状態を「中透け」と呼ぶ。
 中斑の斑の部分が広くなり、周辺にわずかな緑を残したもので、紺覆輪と呼ばれることもあります。
 見た目が美しく、人気がありますが性質が弱く、栽培は難しいです。
 斑の色により、白中透けとか黄中透けとか言われます。
三光中斑  葉の外周が緑で、その内側が斑になっていて、葉の中心部が緑になっている複雑な斑入りの形態を 言います。
 中斑の中心部に緑が残っている様な感じです。
 バリエーションとして「三光中斑」がある。長生ランなどではよく有る斑入り現象
三光斑  解りやすく表現すると「覆輪」で、さらに緑の縁取りがある斑。
 三層構造の中間部分のみ斑入りになる。ドラセナや古典のラン類に多くみられる。
◆覆輪◆ ◆大覆輪◆ ◆糸覆輪◆
◆耳摺り◆ ◆爪斑◆ ◆中斑◆
◆紺覆輪◆ ◆青◆ ◆幽霊◆
◆斑の入り方による分類<V>葉(源平)◆
◆切り斑  葉の半分が切り取られたように入る斑。
 葉の中脈を境にして半分が斑で半分が青となっている単純な斑。
 蘭の「源平柄」に相当します。
 こちらは主に双子葉の草花や樹木に対して用いられます。
 斑の安定性は悪く、葉全体に対する斑の面積の割合は、大きくなったり、小さくなったりします。
 極端な場合、青や幽霊になります。
源平  葉の中央の葉脈(主脈)を境にして左右半分が全面、青で、残りの半分が全面、斑の状態を言いま  す。
 見た目はインパクトがありますが、覆輪や縞が不完全な場合が殆どで、評価は低いです。
 芸の継続性も悪く、子の多くは斑のない「青」か、全部が斑である「幽霊」です。
片柄  葉の中央の葉脈(主脈、中脈とも言う)を中心線にして片側に斑が出て反対側に斑が無いものを言  います。
 当然ながら両側に斑のある個体より評価は下がります。
◆斑の入り方による分類<W>葉(縞)◆
◆縞斑  細い又は、太い線の様な斑
 筋斑・条斑とも呼ばれる縦縞の斑。安定性がない。主に単子葉植物に現れる斑入り。
 葉脈にそった模様。縦方向の斑。
◆縞  斑の入り方の一つで蘭の様に葉の長い単子葉植物に特有なものです。
 葉の長手方向に1本又は複数本の斑が線状に入ります。
 斑の色は白、乳白、黄、浅黄など様々です。
 春蘭や寒蘭で縞と呼ぶのは実際には、中透けの先端の紺が蹴込んだものです。
 これに対して富貴蘭の縞は葉先に突き抜け、「棒縞」と言われます。
 春蘭や寒蘭でも希に棒縞の品種が有りますが、はっきり「棒縞」と表現されます。
コート目  細かい縞が入った最上柄の縞柄
 規則正しい、細かい縞が葉の全面に入った状態を言うようです。
 最上柄だと思えば良いでしょう。
 語源が判らないので、私は使いません。
◆櫛目
◆棒縞ぼうじま  粗い縞や一本縞の斑
 斑の入り方の一つで、「縞」といえば、本来、この「棒縞」を指します。
 棒縞は縞の先端が葉先を突き抜けるもので、富貴蘭の縞は、全て棒縞です。
 良くなったり、悪くなったり安定性が悪く、時により斑が無くなってしまったり、全面が斑(幽霊)になっ たりします。
 これに対し、春蘭や寒蘭では紺覆輪が蹴込んだものを縞と言い、実際には中透けです。
 (中押し縞と言う表現もあります。)
 春蘭や寒蘭でも希に棒縞の品種が有りますが、はっきり「棒縞」と表現されます。
◆散り斑縞
源平縞
◆三光縞
◆源平◆ ◆源平縞◆ ◆紺縞◆
◆縞◆ ◆櫛目◆ ◆散り斑縞◆
◆虎斑◆ ◆派手◆ ◆地味◆
◆斑の入り方による分類<X>葉(虎・蛇・図)◆
◆虎斑  斑の入り方の一つです。虎の尾に似た模様の斑
 不定形なブロック状の斑が葉や軸の一部に出ます。
 斑の色は白、黄、萌黄やこれらの中間色が、あります。
 春蘭では斑切れ良く、雉の尻尾の様に斑が出る品種が多くあります。
 富貴蘭では斑切れの良いものは少なく、全体的にぼんやりと黄色くなる物が多いです。
 段斑の様だが斑の入り方が不規則でムラに入る斑。
 単子葉植物に現れる斑入り。縦の葉脈を横切る縞模様(横縞)。ウイルス起源と思われる。
切り虎斑  斑と葉緑素の境目がはっきりしている虎斑
◆ぼや虎  萌黄色で境界のはっきりしない虎斑を「ぼや虎」と言います。
 不明瞭で色彩のコントラストが低く、芸としての評価は低いです。
 山採り品などで、時々、見られますが、固定せずに消えてしまう場合も多いです。
◆雲くも  後冴えの品種で、柄が冴えてくる時に、もやもやっとした虎斑状になる斑
◆雲を浮かべる  斑入りの品種で新しい葉が伸びる時、斑に葉緑素が薄くかかり、雲って見える状態を言います。
 成長とともに斑の部分の葉緑素が消えて(雲が晴れて)斑が鮮明になります。
蛇皮  斑の入り方の一つで、白地や、黄色の地に緑点を散らしたような芸です。
 蛇の皮に例えた名前ですが、それほど似ているとも思えません。
 春蘭には多くの品種がありますが、他の蘭では稀です。
図(ず)斑  オモトに特有の白斑が図状入る。ウイルス性の斑であるが、感染力が弱い為珍重される。
 数タイプ(系統)ある。虎斑と呼ばれる植物の中にも同ウイルス起源のものもある。
段斑  階段状に横縞が入る斑。
◆斑の入り方による分類<Y>葉(掃け込み)◆
掃け込み斑
刷け込み斑
 葉の縁から葉の中央に向かって掃け込む斑。
 双子葉植物の樹木や草花に対して用いられます。
 葉全体を刷毛で掃いたような斑が入ります。
 野山を歩いていて見つける斑の多くは、この掃込み斑です。
 部分的に濃淡のある散斑の様な感じです。
 斑に安定性が無く、地味になれば青葉に、派手になれば幽霊になります。
蹴り込み  覆輪又は紺覆輪の覆輪の部分が葉の先端から葉の中央に向かって縞状に入り込んだ様子を言い  ます。
 入り込んだ部分の先端は葉元に達する事はなく、途中で消えます。
◆斑の入り方による分類<Z>葉(曙)◆
◆曙斑
   オーレア
 新芽が伸びる時、白や黄色の幽霊斑で出て、後に暗み、秋には普通の葉になってしまう斑
 斑の入り方の呼び名で、最も新しい葉にのみ斑が現れ、成長とともに消えてしまうものを言います。
 後暗みの虎斑との区別が不明確で曙虎斑とも言われます。
 斑の色を区別する言葉では無く、状態の変化を表現する言葉です。 
 「曙色」(夜明けの空の色)とは無関係です。(もちろん曙色の斑でも構いませんが)
 新葉が白く出て後に緑葉に変わる斑。
 出芽時に白色〜黄緑色の葉で成長にともない緑色に変化する性質。完全に緑化してしまうタイプと
 あまり変色しないで残るタイプがある。
黄葉  多くの植物で葉の緑色が薄く、黄色っぽい個体が選別され、「黄葉」と表現されています。
 葉が黄色くても葉緑素を含んでいる場合は栽培する事が可能です。
 富貴蘭の場合は黄色い個体は虎斑に分類されてしまい、黄葉と言う表現は、あまりしません。
 極端に暗い場所で栽培すると、もやしのように葉が黄色くなりますが、これは黄葉とは言いません。
◆斑の入り方による分類<[>葉(散り斑)◆
◆散り斑
絣斑かすりふ
 斑の中に緑が交じる、又は、緑の中に斑が細かく交じる斑(散り状に斑が出ている斑
 霧吹きで吹き付けたような模様の入る斑。
 斑の入り方の一つで、短く細かい糸くずの様な斑が無数に散らばる状態を言います。
 細かい点状の斑が散らばるものは砂子斑や胡麻斑と言いますが、これらを含めて散斑と言う場合も 多いです。
◆散り斑縞  散り斑に縞が入る柄
 霧吹きで吹き付けたような縞の入る斑。
 散斑が線状に集まって縞のように見えるものを言います。
 富嶽系のものに多く見られる。
ゴマ斑  点々と入る斑が小さくゴマの様に入るもの。
砂子斑  点々と入る斑がより小さく砂の様に入るもの。
 砂子斑と胡麻斑に関しては人により定義が異なる様です。
 両方とも細かい点状の斑が無数に入るもので、同じものだと言う人もいます。
 白又は黄色のベースに緑点を散らしたものが砂子斑で、
 緑の地に斑が点状に入った物が胡麻斑であるという人がいますが、その逆を言う人もいます。
 いずれにせよ、緑色の濃い部分が地で、白や黄色の部分が斑であることは間違いなく、
 その意味では大差ありません。
◆斑の入り方による分類<\>葉(星斑)◆
◆星斑透かし星  富貴蘭で言う星斑は透かし星斑で唯一金光星
 が有り、くぼんだような透ける斑である。
 小さな丸い斑が夜空に星を浮かべたように数多く出ます。
 この斑は蘭に限らず、ツワブキなどにも見られます。
 バイラス病であると言う説がありますが、伝染するわけでもなく、斑入りとして流通しています。
星斑
ぼた斑
 大きめの点の模様がいくつか入る斑。
 ウイルス感染による斑。
 黄色の斑点が現れる。感染力が弱い事が多いので園芸的には斑入り植物として扱う。
 ツワブキ、茶などが有名。
◆斑の入り方による分類<]>葉(紺)◆
◆紺  葉の表面の緑色を紺と言います。
 緑色の濃いものを「紺地が強い」と言い、黄緑色のものは「紺地が弱い」と言います。
◆紺縞  薄い緑色の地に濃い緑色の縞が入った状態を言います。
 実際には縞の部分が地の色で、地の部分が斑の色です。
◆紺覆輪
(こんふくりん)
(こんぶくりん)
 緑色の覆輪に見える斑。(=萌黄の中透け)
 薄い緑色の地に濃い緑色の覆輪が入った状態を言います。
 実際には覆輪の部分が地の部分で、内部が斑の部分です。
 つまり中透けであると言えます。
 白中透けや黄中透けも紺覆輪という場合があります。
◆斑の入り方による分類<]T>葉(2つ以上が合体した斑)◆
◆覆輪に虎斑を現す
黄白縞散り斑  黄白色の縞状の斑が散り斑状に入る
砂子斑縞  入る縞に砂子斑が現れる
乳緑地紺掃け込み斑  乳緑の地色の葉に紺色(濃い緑色)の掃け込み斑が入る
白地に緑の散り斑
黄金地に砂子斑
白散り掃け込み斑
銀ノリ三光中斑
三光斑が覆輪状に入る
白ゴマ斑に黄斑が入る
黄金葉紺緑掃け込み斑
 白地に小さな緑の点が均一に入る
◆色による斑の呼び方◆
斑の色を入れる  
より白い順
 銀斑・雪白斑・白斑・乳白斑・黄白斑・萌黄・
 黄斑・乳緑斑・緑斑・紺斑など
◆状態による斑の呼び方◆
本 斑  観賞価値の有る安定した斑。
 先天的な形質がきちんと現れた状態。
 キメラ斑・遺伝斑
総斑  斑が葉の全面に均一に入った状態を言います。
 縞の場合、細かい縞が葉の全面に多数、入った状態を言い、太くて荒い縞では言いづらいです。
 上柄の意味と同じです。
上柄(良斑  斑入り植物そのものの特徴をよく出し斑がバランスよく株全体に均等にあるもの。
斑が美しく入いっている状態を示す用語
派手柄  斑入りの品種で、その品種の本芸とされる個体に比べ、斑の面積が広いものを「派手」と言います。
 見た目にインパクトがありますが、育てにくく、良い子が出にくいので、
 悪い意味で使われる場合が多いです。
 しかしながら、「明るく美しい」という意味で使われる場合もあります。
 斑入り植物で斑の占める割合が多い状態。美しく見えるが株が虚弱になったり、繁殖力の低下し、
 繁殖ができなくなる(白子しかでない)場合もある。
地味柄  葉の面積に比較して斑の量が少ないことを言います。
 鑑賞価値は劣りますが、葉緑素が多い分、栽培は楽ですし、値段も安くなります。
 地味な親から柄の良い子がでることもあり、これが斑入り植物栽培の楽しみでもあります。
 斑入り植物で斑入りの部分が目立たない事。
 斑が少ないか斑入りが不鮮明な状態。その反面丈夫で繁殖力にすぐれる。
◆幽 霊
うぶ
 葉緑素のまったく無い、斑だけの葉
 葉の全面が斑になって葉緑素が抜けてしまったもので、「幽霊」と同じ意味です。
 全ての葉が「うぶ」であれば生育出来ません。
 斑入り種が完全に斑だけになり生育不可能な状態を示す言葉。オバケ、バカとも言う。
 親木(親株)・元木(元株)とともなら生育するもの、斑と緑葉を交互に出すものも有る。
 葉の全面が斑になってしまったものを言います。
 棒縞の品種は斑が暴れやすく、幽霊になってしまう場合があります。
 また、覆輪の品種も幽霊の子を産み易いです。
 斑の色は白〜黄〜緑まで連続的に存在します。
 白の幽霊は生育出来ませんが、斑の中に葉緑素を含むものは生育出来るものもあります。
 また、出芽が幽霊でも後で緑が乗ってくる「後暗み」の品種は斑の色に関係なく生育出来ます。
 このような斑は「曙斑」に分類されます。
枝変わり  本来と違う性質が出た枝のことで斑が出ることも。違った斑に変わった枝。
 (例  覆輪→中斑)
葉変わり  本来持つ斑が違った斑に変わった葉
 (例  縞斑→覆輪)
転覆芸  成長とともに斑の種類が他のものに変化する様子を言います。
 天冴えで後暗みの斑と、後冴えの斑の2種類の斑を持っている場合に起こります。
 最初に天冴えの斑が現れますが成長とともに消えます。
 この時、後冴えの斑が現れるので、途中で斑が切り替わった様に見えます。
◆地模様◆
地模様  斑入りとの区別は難しく、経験的に区別するしかありません。
 斑入りとの違いは、出現率の違いです。
 自然界では斑入りは極めて稀にしか出現しませんが(例えば10万個体に一つ)
 地模様では群生した全ての個体に似通った模様がある場合が多いです。
 地模様でも斑入りに劣らぬ鑑賞価値の高いものがありますが、
 希少性を尊ぶ古典園芸の世界では、それほど評価されません。
 地模様の例として、シュスランの葉脈縞などがあります。
 地模様と区別して斑入りを本斑(ほんぷ)という場合があります。
 地模様に本斑が入った個体もあります。
網斑 脈斑  葉脈が浮かび上がるようにはいる斑。
 葉脈が白や黄色になる斑入り現象。ウイルス起源のものも多い。
亀甲斑  カンアオイなどの場合にそう呼ぶ。
模様・文様  斑のように見えるが、その植物が持つ独特の模様・文様のこと。
 シクラメン等斑入りとは呼ばないもの。
◆軸と軸に入る斑◆
◆青軸  軸(茎)の部分に褐色の色素が無い品種で、蘭に限らず全ての植物で呼ばれます。
 通常は紅色の色素(アントシアニン)と葉緑素の混ざった褐色の色素を持つ個体
 (泥軸)が一般的で す。
 青軸は泥軸に比べ数が少ないので珍重されます。
◆泥  赤色の色素(アントシアン)を示す用語
 葉や軸の部分に出る褐色の汚れを泥と言います。
 紅色の色素(アントシアニン)と葉緑素の緑が混じって茶色になったものです。
 通常は葉よりも軸の部分に多く出て泥軸と呼ばれます。
 斑入り、その他で葉緑素の少ない品種は泥が紅色になる場合もあります。
 もともと紅色の色素を持たない品種もあり、これらは青軸と呼ばれ、泥は出ません。
◆泥軸  軸(茎)の部分に褐色の汚れが出る個体を泥軸と言います。
 富貴蘭でよく使われる言葉ですが、棒蘭でも青軸と泥軸があります。
 青軸が選別されている全ての植物には比較対象としての泥軸が存在します。
◆紅軸  泥軸の「泥」は紅色色素と葉緑素の緑が混じった茶褐色の汚れです。
 泥軸でも軸の部分に斑が通った個体は葉緑素が少量です。
 紅色の色素が葉緑素で濁らないので軸が紅色になります。
◆腰斑こしふ  葉の根元、付けの当たりに出る斑
 富貴蘭には軸の部分にのみ斑を出す品種が何種か知られています。
 この位置に出た斑を腰斑と言います。
白軸  茎の部分の葉緑素が抜け白くなったもので、錦蘭や小町蘭にみられます。
◆透け軸  富貴蘭で、日を強く採ると軸の部分が浅黄色に明るくなる場合があります。
 このような軸の状態を透け軸と言います。
◆斑に関する用語・他◆
◆糊を引く  白縞や白覆輪で斑の色が地の緑色の上に溢れて半透明の膜を貼ったように見えることを言います。
 万年青や富貴蘭で使われる言葉です。
◆乗り斑
◆雲を浮かべる  斑入りの品種で新しい葉が伸びる時、斑に葉緑素が薄くかかり、雲って見える状態を言います。
 成長とともに斑の部分の葉緑素が消えて(雲が晴れて)斑が鮮明になります。
◆紅隈べにくま  葉の縁に紅色の色素が現れる事を言います。
 覆輪の斑の部分に色素が乗って、紅色の覆輪の様に見えるものが大部分だと思います。
 深山麦蘭では多くの品種が選別されています。
 品種により、冬季にだけ紅隈がでるものや一年中でる物があります。
 富貴蘭では紅扇という品種が有名ですが、これは浅黄又は萌黄の覆輪に一年中、紅が乗ります。
斑の上に泥が濃く乗り、赤い斑の様に見える状態を示す用語
斑切れ  緑の地と斑の境界のことを言います。
 境界がぼやけて見えるより、はっきり判る方が評価が高く「斑切れが良い」と言います。
斑と緑の境目(境目がはっきりしている=斑切れが良い)を示す用語
◆打ち込み斑  斑の入った部分が平面的でなく、凹んだ状態になる斑を言います。
 白色の斑が多い様に思います。
◆時期による斑の呼び方◆
冴える 斑がはっきりする事を示す用語
◆天冴え
(てんざえ
 最初からはっきりしている斑
 新葉時に斑が映え後元の葉の緑に変わる場合と、
 出芽時より鮮明な斑が入り、終始色が変化しない(暗まない)性質で有る場合がある。
 斑入りの品種で新しい葉が出た当初より斑が鮮明なものを言います。
 最初は不鮮明で成長とともに鮮明になるものは後冴え(のちざえ)と言います。
◆後冴え
のちざえ
後晴ぜ
(のちはぜ)
 芽出しは、無地や薄く、後に鮮明になる斑
 最初、青葉で出て、成長とともに斑が鮮明になるものを後冴えと言います。
 成長するにつれ斑が映えて目立って来る。
 出芽時不鮮明だが、成長とともに鮮明になる様子。
◆後暗み
(のちくらみ
(のちぐらみ
 最初は、はっきり出ているが、後に薄くなったり、無地なったりする斑
 成長するにつれ斑が消えて目立たなくなる。
 出芽時や成長期には鮮明な斑が成長に伴い不鮮明になったり、緑化してしまう状態をしめす。
 成長とともに斑が消えていく(葉緑素が乗る)事を後暗みと言います。
 一般的には暗まないで斑が残った方が評価が高いです。
 しかし、白の曙斑などは暗まなければ生育出来ません。
 それに消えていく時の斑の変化も楽しめます。
◆暗む  成長とともに斑が消えてしまう状態を言います。
斑の色が徐々に消えていく状態を示す用語
◆あばれる  その時々で斑の出方が異なる。
縞柄等で、柄が派手になったり、地味なったりする事を示す用語
◆その他の斑の表現◆
斑入り(ふいり
バリエガタ 
バリエガータ
バリエゲイテッド
ヴァリエガタ
 植物が本来持っている葉緑素が、欠如、欠乏し、
 葉や茎に黄・黄白・白・紅色またはそれらが複合して模様や紋様がでる事。
 覆輪、中斑、散斑、虎斑、縞斑(広葉樹では捌け込み)、網斑、ボタ斑などに大別される。
 キメラや曙斑以外はほとんどウイルス起源かと思われる。
五色斑
レインボー
トリカラー
 
 葉が赤みを帯びた植物が、斑入りとなった時に用いる名称。
 トリカラー(トリコロル)、レインボーなど。トリカラーまたはレインボー=五色葉、
マルギナタ  覆輪。
メディオピクタ  中斑。
ライム   葉が黄色い品種、日本では黄金葉、萌黄葉と呼ぶ。
オーレア(アウレア)  黄金葉やアケボノ斑。
ストリアタ  縞斑。
キメラ斑  覆輪・中斑、種をまいて遺伝しない。
遺伝斑  散り斑・砂子斑・掃け込み斑。遺伝する。
◆その他、本斑でないもの、一時的に出る斑◆
日 光  日光の当たりすぎや日光不足による斑。
 日光により斑がはっきり現れたり消えたりするものも有る。
ウイルス  アプチロンの網目模様、石蕗の星斑等。
 椿に時々出る境界のはっきりしない斑。
 ツバキでは斑が多くなりすぎると枯死する事があるので注意。
バイラス  ウイルスやビールスと同じ意味です。
 不治の病で伝染性が強いので処分するしかありません。
 斑に似た斑紋を出したりする場合があり、斑入りと間違えたりします。
 また、萎縮したり、変形したりする場合もあり、これを芸だと勘違いする事もあります。
病 気  植物が病気にかかり斑が出る。根腐り等でも。
害 虫  虫に喰われたり、エキスを吸われて出た斑。
肥料・水やり  栄養・窒素不足による斑。
紅 葉  葉の葉緑素が減少し赤色が増加する事。赤い色素がないと黄色に色ずく
◆墨 すみ  濃紺の糸状の縞のように見えますが、斑とは区別されています。
 葉や軸に1、2本現れた場合「墨を引く」と言います。
 たくさん現れた場合は「墨流し芸」といわれ、斑入りでは無く、無地葉変わりに分類されています。
 極、細い白縞が黒く変色した様なものや、濃い紅の汚れを墨と言ったりする場合もあり、多少混乱し  ています
小豆斑 品種によっては、日を強くすると、下葉に泥(アントシアン)が濃く出る。この様な状態を示す用語
特によく使うものに印を付けた(◆富貴蘭 ●長生蘭 ▲古典 無印その他・全植物)

←富貴蘭へ 用語へ

栽培品種紹介ページからすべてのページにリンクしています。

  間違いだらけの ◆富貴蘭事典◆ 勝手な事書いてます

◆トップページへ戻る◆

アイコン
不絵呂無ホームページへ