前回更新日 | 更新日2008年10月17日 |
芸 | |
芸 | |
二芸品 | ある品種が二つの芸を同時に現した場合「二芸品」と言います。 例えば斑入りで花変わりであれば二芸品です。 |
多芸品 | 複数の芸を併せ持つ個体を言います。 2種類の芸を持つものは二芸品と呼ばれるので、さらに、それ以上の芸を持つ物を言います。 |
本芸 | 古典園芸において先天的な形質がきちんと現れた状態。例)本芸が出ている。 斑入り、その他の個体変異は同一品種でも個体により善し悪しがあり、栽培方法によっても変わってきます。 その品種の特徴(芸)を良く表した状態を「本芸」と言います。 |
作上がり | 以前(例えば前年)と比較して、生育状態が良くなっている場合、作上がりしたと言います。 |
作落ち | 以前(例えば前年)と比較して生育状態が悪くなっている場合、作落ちしたと言います。 |
当たり | 芽当たりとも言います。 やっと確認出来る程度の小さな芽を言います。 主に新しい子供の芽を言い、花芽の場合は、あまり使いません。 |
木 | 蘭は草ですが古典園芸の世界では「木」という言い方をする場合があります。 大きく育って状態の良い個体を上木(じょうぎ)といったりします。 蘭に限らず、古典園芸は、対象の植物を草であっても木と呼びます。 |
芋 | 春蘭やエビネは毎年、新しい茎を出します。 茎は養分を蓄えて肥大し、落葉語も何年かは残ります。 落葉後の古い茎が芋に似ているので、この名があります。 古い芋を切り取って新芽を出させる事を「芋吹き」と言い、増殖の手段として利用されています。 |
軸 | 植物の茎の部分を言います。 富貴蘭の様に葉元に囲まれて見えない場合もありますので、その場合は葉元の重なりの部分を言います。 |
栄養繁殖 | 交配して種子から増殖させるのではなく、株分け、挿し木、取り木、メリクロンなどで増殖させる方法を言います。 100%親と同じ形質を受け継ぎます。 ただし、斑入り、その他の個体変異は100%遺伝形質に取り込まれているとは限りません。 栄養繁殖で増やしても、特徴を失う場合があります。 |
唇弁 | 蘭やスミレは花弁の内、下側の一枚だけが他とは違った特別な形状をしています。 これを唇弁と言います。 |
F1 | 交配一代目の雑種を言います。 個体による特徴のばらつきが大きく、親の特徴が表面に出てこない場合も多いです。 |
空洞植 | 富貴蘭の伝統的な植え方で、水苔を空洞のドーム状に盛り上げ、その上に富貴蘭の根を跨がせます。 空洞にするのは鉢内部の通風を良くし、加湿を避ける意味があります。 ドーム状に高く盛り上げる植え方は空中に根を長く伸ばす富貴蘭にとって鑑賞的にも生育的にも好都合です。 |
古典園芸 | 江戸時代に園芸が大流行し、当時、栽培された植物は「古典植物」とか「古典園芸植物」とか呼ばれます。 この中には松葉蘭や細辛など、現代では一般的でない物もありますが、菊や朝顔のように現代でも普及しているものもあります。 朝顔を例にとると、当時も現代と同じように、より大きい花、より美しい花を求めた人々がいたと思われます。 しかし、このような楽しみ方は古典園芸とは言いません。 変化咲きや、糸葉のような珍品を収集するのが古典園芸だと言えます。 植物自体には古典も現代もなく、違いは楽しみ方にあります。 古典園芸の裏には、投機的な面もあり、良くも悪くも発展を支えてきました。 蘭の栽培も技術的には古典園芸の延長線上にありますが、現代園芸として楽しんでも問題はありません。 |
凝る | 特に富貴蘭で、天葉が急に短くなり、以降、木が小型化してしまう現象を言います。 環境の変化等による成長障害が考えられます。 ただし、西出都等で小型化した個体が珍重され、銘名されるようなケースもあり、芸であるか障害であるかの区別が難しいです。 |
小町蘭 | 荒れ地、空き地、芝生などに生える「ネジバナ」と言う野性蘭があります。 ネジバナの斑入りや葉変わり、花変わりを選別、命名した品種を小町蘭と言います。 |
大黒蘭 | コクラン、ユウコクラン、シマササバランの変異種を選別し、命名したものです。 |
着生蘭 | 蘭には樹上や岩上に着生している種類がたくさんあり、着生蘭と呼ばれています。 着生蘭と比較する意味で、地面に生える蘭を地生蘭と言います。 |
着生 | 植物が樹上や岩上に根を伸ばして生育している状態を着生と言います。 着生植物には蘭やシダやアナナスなど多くの種類があります。 樹上に着生しても寄生している訳ではありません。 |
長生蘭 | 野性や実生のセッコクから変異品種を選別し、命名したものです。 |
棚 | 栽培している場所の事を棚と言います。 |
裾物 | 安価に流通する普及品種のことを言います。 裾物の中には品種としての特徴が少ない鑑賞価値に欠けるものも多少は存在します。 しかし、多くの裾物は丈夫で殖えすぎた為、値段が下がった訳で、鑑賞価値が低い訳ではありません。 裾物でも株立ちにして丁寧に作れば自慢出来る一鉢になります。 店では単価の割に場所を取る裾物をあまり置かなくなったので逆に珍品となってしまった品種もあります。 |
芯止まり | 成長点が失われる事を芯止まりといいます。 春蘭や長生蘭は毎年新しい茎を出し、これらの茎は複数の成長点を持っているので一つの芽が損なわれても普通は代わりの芽が伸びて来ます。 これに対し風蘭や樫の木蘭は毎年同じ成長点が無限に伸びていきます。 このとき成長点が傷つくと、それ以上成長出来ません。 これを芯止まりと言います。 芯止まりになった個体は、やがて枯れますが、その前に子芽を出すのが普通です。 |
自家受粉 | 同じ花の花粉、又は同じ株の花粉、又は同じ品種の花粉を使って結実させることを言います。 セルフ交配と同じ意味です。 ある程度の確率で親に近い個体が得られますが、交配したという時点で親とは異なる物となります。 伝統的な古典園芸では同一株から株分けなどの栄養繁殖で殖やされた個体のみが親と同じ名前を使えます。 自家受粉では親に似つかない二級品が大量に出ますが、これらが親と同じ名前で流通するのは問題です。 |
セルフ | 自家受粉、又は自家受粉で増殖された個体のことを言います。 |
実生 | 種子を播いて繁殖させること、又は種子を播いて繁殖させた個体を実生と言います。 |
無菌培養 | 蘭は自然界では共生菌(ラン菌)の働きを借りて発芽します。 一般の植物と異なり、種子の内部に発芽の為の養分を持っていないため、自分の力では発芽出来ません。 一部の蘭では、親株の根元に種子を蒔くと少量の苗が得られますが、これも共生菌の助けを借りています。 1921年に寒天培地に種子を蒔く方法が発表されました。 この方法ではラン菌の助けを借りないので無菌培養と言われます。 |
メリクロン | バイオ技術で成長点培養の事を言います。 成長点を取り出して培養、増殖させ、これから親と同じ遺伝形質の植物体を大量に作ります。 しかし、斑入りや葉変わりなどの一部は個体変異で、遺伝情報に組み込まれていないものもあり、全ての芸がメリクロンで再現出来るとは限りません。 メリクロンのもう一つの目的はウイルスフリー苗の生産にあります。 これは、成長点がウイルスに冒されないという性質を利用しています。 |
割子 | 富貴蘭などで新しく出た子を株分けした若い苗のことを言います。 最近では実生苗と区別する意味でも用いられます。 |
台切り | 富貴蘭を株分けするとき、子株の根が少ない場合、親株の軸の下部に親の古根を付けて切り分けることをいいます。 親株自体は4〜5本も根があれば十分ですので、下の方の根を軸ごと、子に付けて切り取ってしまう方法です。 ただ、下の方の根は活力が弱く、台切り以後、急速に傷む場合が多いので、あまり、助けにならないことが多いです。 時期と管理が良ければ、少ない根でも活着しますし、特別な事情が無ければ、もう少し親に付けて置いても良い訳です。 |
稚葉 | 富貴蘭が子株を生じるとき子株の最初の2枚位の葉は長さが非常に短いです。 この小さい葉を稚葉と言います。 稚葉の付いた株は、分けたばかりの |
付け | 富貴蘭の用語で葉の離脱層の事を言います。 古葉は離脱層で分離して落葉し、元の部分は落葉後も軸に残ります。 付けは直線状に見えるものや、曲線状に見えるものなど様々で、品種を見分ける目安にもなっています。 大部分の品種は「月型」という形に分類されますが、「波型」「山型」「一文字」という形もあります。 中には付けの無い品種もあり、「付け無し」呼ばれています。 |
坪 | 特に蘭の産地に関して使用するようです。 蘭の場合、産地に大群落を作ったり、広く分布したりする訳ではありません。 比較的狭い範囲がスポット状に点在します。 一つ一つのスポットを「坪」と言います。 [使用例」 品種Aと品種Bは同坪で採れた。 |
天葉 | 最も新しい葉、最上部の葉、中心の葉を天葉と言います。 最上部の1枚を言いますが、上から2枚目位までを言う場合もあります。 葉の数が多い種類にのみ有効で、葉数が1〜2枚の種類では意味をなしません。 |
並 | 形状や寸法が標準的なものを並と言います。 芸の状態が、あまり良くない物も並と言います。 例えば斑の入り方が、あまり良くない個体を並柄と言います (標準的と言うより、あまり良くないと言う意味が込められています。) |
錦鉢 | 古典園芸で用いられる楽鉢は通常は黒く塗られます。(黒楽鉢) 黒く塗らないで、絵付けをしたものを錦鉢と呼び、主に観賞用に用いられます。 釉薬が盛り上がる様に絵付けされ、縁や足の部分は必ずと言って良い程、金色で彩色されています。 絵の題材は花鳥風月、故事、図柄模様など様々です。 |
楽鉢 | 古典園芸で使用する伝統的な鉢です。 楽焼きの鉢の表面に黒い釉薬を掛けたもので「黒楽」とも呼ばれます。 鉢穴が大きく3本足が一般的で、高級品ほど肉が薄く壊れやすいです。 腰高で、やや不安定であるので、通常は鉢掛けにつり下げて使用します。 黒く塗らないで絵付けをしたものは「錦鉢」と呼ばれます。 |
蘭 | 蘭科の植物を総称して蘭と言いますが、蘭と名の付く物で蘭で無い物がたくさん存在します。 特にシダとユリ科に多いように思います。 松葉蘭、栗葉蘭、紐蘭、シシラン、ナンカクランはシダです。(この他にも多数あり) 葉蘭、折り鶴蘭、スズラン、ヤブラン、ケイビランなどはユリ科です。 君子蘭はヒガンバナ科です。 |
錦蘭 | 深山鶉、繻子蘭、紅繻子蘭などのシュスラン属の蘭の変異品を選別、命名したものです。 江戸時代に大流行しました。 |
葉繰り | 葉の出方を言います。 植物は葉を1枚しか出さない物とか2枚と決まったものとか、いろいろあります。 一株から複数の葉を出す種類では葉数が多い程、見栄えが良いし、生育も良いと言えます。 葉の枚数が多く、整然と出ているものを「葉繰りが良い」と言います。 |
鉢掛け | 古典園芸では一般的に楽鉢を使います。 楽鉢は、脆くて壊れやすいし、腰高で風などで倒れやすいので、そのままでは管理が大変です。 そこで、鉢掛けに鉢の縁を引っかけて、鉢を吊した状態で栽培します。 これで倒れる心配は無くなるし、鉢底が浮くので通風も良くなります。 鉢掛けは、太い針金を加工した市販品がありますが、角材で自作する人もいます。 |
富貴蘭 | 野性の風蘭の変異品種を選別し、命名、登録したものです。 今後は実生の選別品種も登録されていくものと思われます。 |
本性品 | 品種名が正確で一意性を持っていれば不要な言葉です。 しかし、世の中には偽物が出回っているので、これを区別する為の言葉として用いられています。 最近では、実生品ではないという意味で用いられているようです。 しかし、言葉自体には何の保証もありません。 品種名を誤魔化すような人は、実生品であっても「本性品」と言うでしょう。 |
葉 | |
無地葉 | 緑だけで、斑の無い葉を示す用語 |
天葉てんば | 一番上の葉を示す用語 |
稚葉ちば | 親木になるまでに出た、本来の長さより短い葉を示す用語 |
葉繰りはぐり | 葉の出る量を示す用語。(葉が出る量が多い=葉繰りが良い) |
襟・軸 | |
襟 | 葉の根元のを示す用語。着物の襟合わせの様になっている所。 |
襟合わせ | 襟の合わさり方を示す用語。(=襟組み)「襟合わせが正しい」の様に使う。 |
襟組み | 襟が規則正しくなっている状態示す用語。「襟組みが良い」の様に使う。 |
筬 | 葉と葉の間隔を示す用語。間隔が広いと「おさが緩い」の様に使う。 |
腰 | 葉の根元辺りを示す用語。 |
軸 | 株の付け根辺りの部分を示す用語(葉が落ちた後に、細い木の幹の幹の様な軸がある。これが本来の軸か) |
芸げい | 通常の風蘭とは違った、葉・根・花等に現れる特徴的な変異を示す用語 |
一品物いっぴんもの | 山取り・芽変り・実生でまだ一本しかない場合の固体を示す用語 |
紺性こんせい | 葉の緑色を示す用語。(葉の色が濃い=紺性が良い) |
芯止りしんどまり | 成長点が何等かの原因で枯れてしまい、天葉が出なくなった状態を示す用語 |
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